カテゴリ:本( 6 )

『パエトーン』





原発関連のニュースを色々とたどっていたら、興味深いものを見つけました。

a0080368_3453998.jpg20数年前、ロシアのチェルノブイリ原発事故の後に、
漫画家の山岸涼子さんがお描きになった『パエトーン』という作品。

パエトーンとは、ギリシャ神話に出てくる若者の名前で、
太陽神アポロンと人間の女性の間に生まれた子供です。
神話の中のパエトーンの物語は、
彼が太陽神にしか許されていない領域に手を出したがために起こる悲劇として描かれているものです。

山岸さんの作品では、冒頭でこのパエトーンの悲劇が紹介され、
その後に原子力発電に関する説明やその安全性・必要性への疑問点について判りやすく漫画で説明してあります。
放射能物質を自分たちの生活に取り入れて起こった原発事故は、
神の領域を侵した愚かなパエトーンの悲劇に通じるものがあると説くなんて、かなり鋭い発想です。

私自身、原発のことをよく理解していなかったので、
恥ずかしながらこの作品を読んで「なるほどぉ」と思ったことがたくさんあります。

高校時代(現在もだけど・・・)、化学は一番の苦手でして、
文章でウランだのプルトニウムだの、中性子だのと説明されてもイマイチぴんと来ないんですよねー。
というより、もうそういう言葉を見ただけで脳みそがシャットダウンするようになってるみたい私。
だけど、こうやって絵で説明されると随分と頭に入るもんです。
そして、読んだ後、自分の無知さを非常に恐ろしく思いました。

エネルギーを生産するために原発は必要ですが、
維持・管理の安全性もさることながら、放射性廃棄物などの問題もかなり山積み状態なわけで、
放射能の影響は今後どうなるの?
この先、私たちはどうすればいいの?
原発という怪物の管理はどこへ向かっていくの?

・・・判らないことばかりです。

『パエトーン』は現在無料WEB公開となっています。
どうぞご覧になってみてください。

山岸涼子『パエトーン』WEBコミック












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by avocadowasabi-2 | 2011-05-06 11:08 |

もしかしたら・・・、事実は小説よりも奇なり・・・かも?

a0080368_1220168.jpg今頃になってなんですが、『ダ・ヴィンチ・コード』を読みました。
すごいです、これ!
著者のダン・ブラウンて人、ただもんじゃないですよ。
このひと、なんでこんなに知識が奥深いんでしょう~~~。
作者紹介を見てみたら、なんと、私と同じ歳なんですね!
すごくショック、というか、やられた!という感じ。江国香織が同い年だと知ったときにもやられたーと思ったもんでした。なんか、同い年の人で
すごい人に出会うと妙な刺激を受けるんです(笑)。


それはいいとして、この小説、問題作といわれただけありますね。
はっきりいって、ヴァチカンは冷や汗かいたんじゃないでしょうか。
歴史上の事実と作者の自説をじっくり吟味し、エンターテイメント性をスパイスとして料理されたこの小説には隙がなく、ため息すら漏れてしまいます。
私自身、キリスト教に関してあんまり知識がないので、どこまでが真実でどこが虚構なのか、すごく惑わされます。
キリスト教でないから、そしてそれに関する知識もないから、案外素直にこの物語を楽しめたのかもしれません。
謎が謎を呼び、事態は一転二転、昨日の友は今日の敵、『ハリポタ』以来、久しぶりに興奮しながら最後まで読んだ
小説でした。

ミステリーと一概に言ってもいろんなパターンがあって、この『ダ・ヴィンチ・コード』や『ハリー・ポッター』のような謎解きに重点が絞られるものを"パズル・ミステリー"と言うそうです。
ほんとにね、パズルを合わせるようにひとつふたつと謎が解明されていくその過程はわくわくします。
今までミステリー小説にはあんまり馴染みのなかった私でしたが、こういう"パズル・ミステリー"といわれるものって
かなり好きかも、と改めて気づかされました。


この小説はトム・ハンクス主演で映画化もされていますね。 実はこの本を借りた友人からDVDも一緒に借りていますがまだ観てませんので、この週末にいよいよ観ようかと思っています。
彼女の言うには、「原作を読んでないと全くわかんないよ」とのこと。
あ~、やっぱりねぇ~。 長編物の映画化って、かなり端折るから理解不能な映画になったりしますね。
『ハリー・ポッター』もそうです。映画しか知らない方は、是非原作読んでください。ハリポタは小説でじっくりなめるように隅から隅まで読まないとその奥深さはわかりません。

『ダ・ヴィンチ・コード』があまりにもおもしろかったので、夫へのクリスマスプレゼントにはオーディオブックを贈ろうかと思っているところ。もともとオーディオブックは好んで買っていた人だったので、出張のときなど楽しんでくれることでしょう。
そういう私は、オーディオブックは苦手です。目で字を追わないと内容に集中できないんですね。

ダン・ブラウンのその他の著書も、機会があったら (というか、日本語の本が手に入ったら・・・) 読んでみようと思っています。


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by avocadowasabi-2 | 2008-12-12 20:14 |

久しぶりの読書

去年の後半あたりから、子供関係のスケジュールで毎日出たり入ったりと落ち着かない日々が続いていたんですが、夏休みに入ってその慌しさも少し落ち着きました。しかし、それもおそらく子供達のスポーツ関係が始まるまでのこと。
来週あたりから、長女が申し込んだテニスの練習も始まるし、そのあとも次女や息子の予定が待機しているので、送り迎えなどの仕事が課されるというもの。

それはいいとして、ちょっと気持ちの余裕ができたので、先月から友人に借りたまんまになっている本をようやく読むことができました。
借りた本は、東野圭吾著『白夜行』と『幻夜』で、今回読み終わったのは前者。
(後者は未読です)


a0080368_4422429.jpgこれはすごくおもしろかった!久しぶりにぐいぐいとストーリーの中に引きつけられてしまいました。
単行本自体かなり分厚くて、手にしたときに少々引いてしまったんですが、友人の「あっという間に読んでしまうよ」という言葉どおり、章が進むに連れて、本の厚さやページ数の多さを全く感じさせないほどストーリーのテンポがよく、内容もかなり巧妙に入り組んでいて、最後まで飽きずに読むことができました。

内容についてはこれから読まれる方のために書きませんが、登場人物がかなり多いんです。最初はその人物達のそれぞれのストーリーが単独で流れていき、なんだか混沌としているものの、次第にそれらがひとつの方向へ流れ出し、その流れはそのうち渦となり、渦はだんだんと速さを持ってしまいには竜巻のようにひとつの大きな激しい形になっていく・・・・・と言ったらいいかな。
19年という年月の中で、オムニバスのように語られるいくつものストーリーが、次第にひとつ、ふたつと繋がっていく過程は本当に見事で、今までいくつか読んだ東野圭吾氏の作品の中では、個人的にこれが一番気に入りました。

また、この話が1973年から19年間の歳月を通して語られていく中で、ところどころにその時代の実際の出来事がさりげなく提示してあり、主人公とほとんど同じ年齢の私としては、ストーリーの展開されるその時代背景やそのころの生活のにおいも妙に理解できるものがあり、ストーリーとは別のところで自分を作品の中に投影できたような気がします。

戦後の高度成長期から、世の中がだんだんと豊かに便利に変わりつつある70年代。それでも、まだまだ貧しさもところどころに多くはびこり、時代の変化の波にのってそこから這い上がろうと必死になってもがいていた人々。
その後のバブル期には、人々は豊かさに酔いしれお金の使い方から果ては生き方までその価値観も変わっていく。
昭和が終わりバブルも弾け、何かを見失ってしまった日本。
そんな日本の変遷がこの主人公達にそのまま重なっているように感じてしまいました。
読後、自分が小学生だったころの同じクラスに、雪穂や亮司がいたようなそんな感覚にふと襲われた私でした。









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by avocadowasabi-2 | 2008-07-07 17:30 |

絵本とのふれあい

子供達が大きくなってきて自分で読書ができるようになると、本を読んでやるということがだんだん少なくなっていきます。
まして、絵本ならなおさらのこと疎遠になっていくのが普通でしょう。

私はもともと絵本が大好きだったこともあり、子供達が小さいころは図書館から山ほど絵本を借りてきては毎日一緒に読んだものでした。しかしそれも、末の息子の学年がひとつずつ上がっていくに連れて、次第に失われつつあります。
「つつある」と書いたのは、以前に比べて冊数や借りる頻度は減ったものの、それでもたまに4年生の息子のレベルでおもしろそうな絵本を選んで読んでやることがたまにあるから。
4年生といえばもうちゃんとした章立てのしてある本を自分で読めるし、学校からの宿題でも、毎日最低でも20分は読書をして、その読んだページの要約文も提出しなければならないようになっているので、親がわざわざしかも絵本などを読んでやる必要はないし、甚だ幼稚だといわれてもしょうがないことですね。
でも、子供と並んで座って絵本のページをめくっていると、日常の慌しい空気がすぅっと静まり、親子で絵本の中へ小旅行しているようなそんな感覚になるのが私にとっては醍醐味だといえるかもしれません。そして読後は、親も子も何となくリフレッシュされたように気分が改まるので、忙しい日常で心に余裕がなくなりがちなときほど、親子で絵本のページをめくる時間をできるだけ作ろうと思うのです。ある意味では一種のヒーリングとも言えるかも・・・?
息子にしても、本を読んでやるというと素直に横に座るので、まだまだ母親から本を読んでもらうというふれあいを求めているのかもしれません。(末っ子だから甘えん坊なんだろうけど・・・・)
高校生と中学生の娘達でさえも、私が息子に絵本を読み始めると、いつのまにか近くに寄ってきて絵本を覗き込んでいたりするし、私が読んでしまった後、自分で手にとって読み返していたり。私のお粗末な英語では聞いていて分かりづらくて、自分で再度確認しているのかもしれませんけどねぇ。

ところで、私が息子に借りてくる絵本はといえば、彼の興味や4年生というレベルを考慮しながら選ぶと、神話や伝説、歴史物や伝記といったものがどうしても多くなってしまいます。神話や伝説、伝承ものというのは個人的に大好きなので、まずはそういうジャンルから選んでしまうのですが、息子にしてみても、不思議で恐ろしげな生き物などが登場するそれらの物語は、興味をそそられるもののようです。
歴史物や伝記は、アメリカに住んでいれば誰でもが知っている偉人や出来事を扱ったものを優先的に選んでいます。

絵本を選ぶポイントには、挿絵がどれだけ魅力的かということも重要だと思います。
すばらしい挿絵は、それだけでも何かを語りかけてくれます。よい絵を鑑賞するという意味からも、上質な絵本を子供に与えることには大きな価値があるように思うのです。


つい最近読んだ絵本。

a0080368_1181047.jpg The Trojan Horse
Retold & Illustrated by Warwick Hutton

有名なトロイの木馬の話。私自身、この話に関してはイマイチあやふやなところがあったので、いい勉強になりました。


a0080368_1183179.jpg The Miser on the Mountain
A Nisqually Legend of Mount Rainier

Retold by Nancy Luenn
Illustrated by Pierr Morgan

Nisquallyというネイティブ・アメリカンの部族に伝わっていた話。
ネイティブ・アメリカンの伝説や昔話は個人的に好きな話です。自然を敬い神々に感謝するという彼らの生き方が、日本人にどこか通じるところがあるからかもしれません。




The First Morning An African Mith
Retold by Margery Bernstein & Janet Kobrin
Illustrated by Enid Warner Romanek

暗黒だった地上にどうやって朝日が訪れたかを説いたアフリカのお話。
私には非常に読みやすかったのですが、4年生の息子にはちょっと幼稚でした。




日本にいたとき、市立図書館で読み聞かせのボランティアをしていたことがあるのですが、そのときに指導者の方が、「パロディ物やキャラクター物は避けてください」と強く言っておられました。
パロディというのは、本物を知っていればこそのものです。
小さな子供達が初めて出会うお話は、本物でなければなりません。
よくあるパターンですが、三匹の子豚などの昔話を、ディズニーやサンリオのキャラクターが絵本の中で演じています。本来のストーリーなら、悪い狼は末っ子の子豚の家の暖炉にかけてある大鍋の中に落ちて死んでしまって、めでたしめでたし・・・となるはずが、キャラクター物では、狼と仲直りして仲良く暮らしました・・・などと脚色されてしまっていたりします。
残酷なエンディングよりも、みんな仲良くという方が子供にはいいんだという、大人の考えからそうなったんでしょう。
しかし、これは間違いなんだそうです。
松井るり子著『ごたごた絵本箱』の中でも全く同じことが触れられていて、悪い狼が最後には死んでしまうから、子供達はやっと恐怖から解き放たれるんだ、というようなことを述べられていました。
子供の本といってもなかなか奥は深いですね。

明日は本の返却日。
気に入った絵本があったらまた時々ここで紹介していきたいと思います。



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by avocadowasabi-2 | 2007-10-03 09:16 |

X-day近し!

最近すっかり更新が滞っております。
わかりきっていたことだけれど、夏休みはやっぱりイソガシィ~~!!ですね。
特に7月に入ってからというもの、子供達それぞれのスイミングだの、アートクラスだのなんだの・・・・ってのが始まり、仕事と子供達の送り迎えとで毎日時間を気にしながらのスケジュール。
そのせいか、夕食後は何だかぐ~ったり疲れてしまって、近頃は誰よりも早寝の私です。

しかしですね、そんな疲れモードの私にとっての「X-day」が明日に迫り、ちょっと緊張感が高まっています。
明日7月21日は、そう、ハリーポッター最終巻の発売日!!
何を隠そう(いや、隠さなくてもいいんだけど)、私はかなりのハリポタファンなんですね。
現在5作目の映画も公開中ですが(まだ観てないけど)、私はなんといっても本の方が好きです。

初めて第一巻を買ったのはいつのことだったか・・・・。
確か、夏休みに子供達と一緒に日本へ帰国していたときだったと思います。
もちろんそのときは、子供達へ読み聞かせをするために購入したのでした。
夜、子供達のベッドのそばで『ハリーポッターと賢者の石』を読んでやるうちに、だんだんと自分のほうがストーリーの中へ引き込まれ、子供達がすっかり寝入ってしまってもページを繰る手は止められずに結局夜通しかけて読み耽ってしまいました。
翌日、既に発売中だった第二巻を求めに書店へ走ったのは言うまでもありません。

ハリーポッターなんてたかが児童書・・・、と読む前は思っていたのに、2巻、3巻と読み進めるうちに、それこそ魔法にかかったかのように、すっかり虜になった私でした。
何がそんなにおもしろいかって、とにかくいろんな伏線があちこちに張り巡らされていて、巻を追うごとにそれらが次第に明確になっていき、ストーリーを組み立てる太い縦糸や横糸に変わっていくのです。
例えば、第一巻ではただのエキストラ的な現れ方をしただけだった人物が、後の巻では実は重要な鍵を握る人だった・・・とか、会話の中にさらりと出てきた言葉に大事な意味が隠されていた・・・とか、とにかく、そういう謎解きが前後左右して読む側を飽きさせません。

4巻までは日本語版で読んでいましたが、5巻と6巻はUS版で読みました。
というのも、日本語版発売は大概いつも一年以上遅くなるので、明らかになった事実や深まる謎のその先が早く知りたいという気持ちが、英語版を読むという大それたチャレンジ精神を起こさせてくれたんですね。
もちろん、辞書は必須です(笑)。

近所にあるKマートでは、今夜十時から1時までハリーポッターのブックフェアがあるようです。
深夜0時から開始される第7巻の発売に前後して、コスチュームコンテストだとか、関連グッズ販売だとか、各種イベントがあるようです。
おそらく世界各地で、7月21日深夜0時に合わせて似たようなイベントが行われるんじゃないでしょうか。考えてみればすごいことですよね、これは。

私の第7巻はWAL MARTのメールオーダー(送料も合わせてここが一番安かった!)で明日送られてくることになっています。
読み終わるまでブログ更新がまたまたストップしそうです。
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by avocadowasabi-2 | 2007-07-20 10:20 |

『脳男』

約2週間の冬休みもやっと終わって、9日から学校が始まった。
学校が休みだと、朝のばたばたイライラもないし、お弁当も作んなくていいし、宿題や学校のスケジュールにピリピリということもなくて楽は楽なんだけれど、毎日毎日一日中、三人の子供たちがわさわさ同じところに居ると、喧嘩は起こるし部屋は散らかる。
子供達を学校へ送り出して仕事に行くまでの自分だけの時間がやっと戻り、久しぶりにゆっくりとお茶も飲めたような気がする。

それでも、そんなガチャガチャと騒々しかった年末年始の仕事休みには、なんとか読書をする時間を作ることができた。

a0080368_1342241.jpg 『脳男』  首藤 瓜於 著

この本は、去年の6月にロングビーチからアタスカデロへ引っ越す際に、LAにお住まいの「Casa de NOVA」のNOVAさんから箱一杯に頂いた文庫本の中の一冊。
NOVAさんからは本当にたくさんの本を頂いたものの、引越しをしてからこっち、新しい環境の中で仕事を始めたことも重なって、ゆっくりと腰を落ち着けて本を読むという余裕が持てなかった。
年が明けて3日までは仕事が休みだったので、この短時間で読むにはやっぱり一機読みのミステリーに限る!!と、選んだのがこの『脳男』。
タイトルも奇妙だけれど、カバーの写真もなんとも怪しくて興味をそそられた。

ストーリーは、連続爆弾事件が話の要かと思わせながら、犯人のアジトにいた「心を持たない男・鈴木一郎(マリナーズのイチローではありません)」の素性を突き詰めていくことが軸になっている。
本書の中で、精神科医が鈴木一郎に対して「感情表出障害」という疑いを持ってカウンセリングに当たる場面が度々出てくる。
そういう障害が実際あるのかどうかなど知る由もないが、この「脳男」はまるでロボットのような男なのだ。
感情がないので意志もない。
だから、歩けといわれればどこまででも歩き続けるし、飢えや渇き、排泄といった生き物にとっては当たり前の欲求というものも欠如しているのだという。
そんなロボット脳男が、若い頃、ある事件をきっかけにして、いままでばらばらだった感情や欲求を司る自己というものが少しずつ形成され始めたのだ。
しかし、不幸なことにそれはあまりにも偏ったモラルを基礎として成り立っていった。
自分では気づかない偏った信念を貫き通すことで、この「脳男」は自分を自分として存在たらしめようとしている。
しかし、やはり「脳男」はロボットではなく血の通った人間である。
自分の行動に対して次第に疑問を抱き始めたのではないか・・・というところでこの話は余韻を残しながら終わっている。

このストーリーの中で、鈴木一郎が自己を認識していく過程の描写がある。
息をすること、自分の体全体を意識して捉え、体中のどこに何があるのか、それは何をするためのものなのか、そして、神経を集中してそれら全体を動かすということ・・・。
こういうことは、普通の人間、いや生き物なら考える必要なしに24時間行われていることだ。
この箇所を読みながら、生き物の体のメカニズムの神秘というものを改めて考えた。
我々の行動や体のシステムを司どる「脳」。
このメカニズムがどういう風になっているのか、現代の科学でも完全には解明できてはいないのではないだろうか。

本書の中では全くの無感情の「ロボット脳男」が、読む側にはなんとも切ない思いを残してくれた。
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by avocadowasabi-2 | 2007-01-10 20:52 |


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